女性の方に多い自律神経失調症ですが、改善の鍵は正しい診断であります。まずは何が原因で自律神経失調症になっているかを確認し、症状に合った鍼灸治療を行います。

この記事では、当鍼灸院で行っている自律神経失調症の鍼灸治療をご紹介します。

まず脈診と腹診を行い、日本の古典的な鍼灸の方法である経絡治療を行います。その結果左右の脈のバランスが整ってきます。自律神経失調症を訴える方のほとんどは右と左の脈の差があります。左が弱く右の脈がつよい場合が多いですので、経絡治療で左右の脈のバランスを整えると、自律神経のバランスも整ってきます。そして、様々な症状が次第に改善されていきます。

これは中国医学の診断方法です。

舌の状態を診てタイプ別に鍼灸治療を行います。

体にうつ熱がある場合は舌が赤くなっています。その場合うつ熱を抑えるようなツボに鍼を打ちます。うつ熱が体内にこもってしまうと、イライラしたり不眠や顔のほてり、頭痛などの症状が現れやすくなります。皮膚にうつ熱がこもると湿疹やアトピー性皮膚炎など皮膚炎を起こしやすくなります。

うつ熱がこもって自律神経が乱れた場合は、支溝や曲泉、大椎などのツボに鍼を打ち、うつ熱を抑えることにより上記の症状が改善される場合が多いです。

水分代謝が滞って体内に余分な水毒が蓄積されるとむくみや身体のだるさ、頭痛や胃腸障害が起こりやすくなります。さらに頭部の浮腫も出やすくなり、思考力の低下や集中力の低下、頭がぼーっとするなどの症状が出やすくなります。水毒が体内に溜まっている場合、舌には白い苔ができやすくなります。

水分代謝が悪く水毒が溜まってしまうと血行も悪くなってしまって、様々な部位が痛み出しますので、できるだけ早く水毒を体外に排出する事が健康を維持する上で重要なことです。

水毒が体に溜まった場合の鍼灸の治療方法ですが、水分代謝を改善するツボに鍼を打ちます。代表的なツボは三陰交や腎兪、陰陵泉です。水分代謝を改善する部位に針を打つことにより水毒が体外に排出され体のだるさも改善して様々な症状が改善されていきます。

身体の冷えが原因で自律神経失調症の症状が引き起こされる場合は、お腹の関元と腰にある命門のツボにホットストーンを置きます。ホットストーンでお腹と腰が暖かくなると、体全体が温かくなります。ホットストーンは煙も出ませんし、体の深部まで熱が浸透しますので冷え性の改善にはとても効果があります。冷えの体質が改善され、血流が良くなるために肩こりや腰痛もおこりにくくなります。そして手足が暖かくなり身体は疲れにくくなります。その結果、冷えが原因の自律神経失調症の様々な症状を改善することが可能になります。

自律神経失調症の症状が明らかにストレスが原因であると考えられた場合、鍼灸治療はストレスを緩和させるツボに針を打ちます。百会や印堂などがストレスを緩和させるツボになります。ストレスが長期に続くと頭皮が硬くなってきます。頭皮が硬くなると頭がぼーっとしたり集中力の低下などの症状が現れてきます。すなわち頭部の循環が悪くなってしまうのです。その場合百会に針を打つと頭皮が柔らかくなって、頭もスッキリし気分もリラックスします。一度百会に鍼を打ったことのある、自律神経失調症でお悩みのお客様に百会のツボに針を打ってくださいと、催促されることもあります。私自身ストレスを感じたときに百会に針を打つと本当に気分がリラックスして心地よくなるのを実感しています。

気虚タイプの方は全身のエネルギーが不足しているために疲れやすくなります。そのために何か作業をするとしばらく休憩してから次の作業に移らなければいけないような状況になります。

だるさのために思うように体が動かないと気分も落ち込みやすくなってしまいます。このような場合、針灸治療院ではエネルギーを補給するようなツボに針を打ちます。代表的なツボは足三里や合谷などです。胃腸機能を活発にして、消化吸収を高め栄養分の吸収を高めて、体に活力を与えることが重要です。鍼灸治療で体が元気になると気分も高揚してやる気が出てきます。

このように自律神経失調症は様々な原因で引き起こされますし、自律神経失調症の鍼灸の治療方法もタイプによって異なります。当治療院では長年自律神経失調症で悩んでいた、多くの方の症状が改善されております。